カテゴリー  [ 話がでかいマンガ ]

男組 

高校生ファシスト神竜剛次の覇道の前に、
アウトサイダーの流全次郎が立ちふさがる。

男組 (13)

兄弟姉妹型研究者の畑田国男は「弟の力」の中で、家族の中でのポジションが性格の形成に強い影響を与えると言っている。
「男組」の主人公、流全次郎と神竜剛次も「次」の字を名に持つ弟である。原作者の雁屋哲がこの二人を弟に設定していることにどういう意味があるのかはわからないが、二人とも外の世界では強いリーダーシップを発揮する。

青雲学園は、神竜剛次とその部下たちによる恐怖政治の支配下にあった。校長は学園を神竜の手から解放するために、関東少年刑務所にいた流全次郎を特別入学させる。流は手錠をはめたまま学園に乗り込み、神竜と対決する。流の手錠は、父親殺しの冤罪がはれるまでは外せない、自らにはめた鉄の枷だった。

「大衆はブタだ!」
神竜剛次は、詰め襟の制服に日本刀といった戦前の青年将校のような格好をし、その思想もファシズムそのもの。一方の流は関東少年刑務所のユニークな仲間たちを率いる自由人である。
知能指数180の伊庭、武芸十八般の高柳、大泥棒の大杉、動物使いの長浜 、怪力の岩瀬ら「五家宝連」は、才能とエネルギーを持て余し、使うべき方向を見失っていたが、流と出会い、神竜という巨大な敵を得ることで男の生き様を知る。やがて流たちは、それぞれの宿命に押されるように、神竜の背後にいる「影の総理」との決戦へと向かう。

太極拳、八極拳、螳螂拳といった中国拳法による闘いのシーンがよかった。池上遼一の描く悪役キャラ(奇妙な敵たち)は、ほんとうに不気味でインパクトがある。

雁屋哲は「男組」で得た印税をすべて美食につぎ込んで、次作「美味しんぼ」を書いたという。

「男組」作・雁屋哲 画・池上遼一
「週刊少年サンデー」1974〜1979年連載

空手バカ一代 

つのだじろうが描くと、
空手の構えにも妖気が漂う。


空手バカ一代 (1)

極真空手の創始者、伝説の空手家である大山倍達の半生を梶原一騎が力技で書き抜いた。

特攻隊の生き残りがひとり、「焼け跡・闇市」の日本に帰ってくる。
彼には、空手しかなかった。
極真の技を開眼するために、片方の眉だけを剃って、山ごもりの荒修行。
まだ戦争の恨みが残る、敵地米国での武者修行。
そしてゴッド・ハンドと呼ばれる空手超人の誕生。
梶原の大胆な脚色も加わって、世に空手ブームを巻き起こした。

素手での「自然石割り」「牛殺し」「ビール瓶切断」など、数々の逸話が織り込まれたストーリーは、「生きた伝説」となり、大山の存在を巨大なものにした。

この漫画は、途中で作画家が替わっている。
若き空手家時代は、つのだじろうが描く。
つのだじろうの絵が醸す独特の雰囲気が、格闘漫画に不思議な味わいを与えていた。
闘いのシーンでは、空手の構えにも、ただならぬ妖気のようなものが漂っていた。

のちに極真会館を創り、弟子たちを育てる頃の話は、影丸譲也が作画を担当した。
こちらは、貫禄のでた大山館長らしい雰囲気がある。

1971年より、少年マガジンにて連載