殺し屋1(殺し屋イチ) 

いじめられっ子だったイチが、
泣きながら人間を切り刻む。

殺し屋1(イチ) 3 (3)

高校時代に地獄のいじめにあった城石一(イチ)は、妄想の世界の住人となっていた。
イチはいじめられっ子だったが、空手を習い、足技だけを極め、超人の域に達していた。
やがて、謎の男に見込まれ、ヒットマンに仕立てられる。
「じっちゃん」と呼ばれる謎の男は、イチの妄想をかき立て、何が目的かはわからないが、新宿歌舞伎町のヤクザを次々に襲わせ、町の崩壊をもくろむ。

イチはスニーカーに刃物を仕込んで、驚異的な足技でターゲットの首を落としたり、頭の皿を削ったり、体を切り刻んだりする。
仕事が終わると、鼻水を垂らしながら号泣し、自慰を始める。完全な変態の世界である。

マゾヒストの垣原は、イチに捕まり、絶望の中で切り刻まれることを期待しつつも、「必然性を高める」とか訳の分からないことを言いながら、他人を拷問にかけたり、自分の舌を切ったりする。完全に狂った世界である。

人間は、欲望と支配のために暴力を使う。その恨みはさらなる暴力として跳ね返ってきて、残されるのは廃墟のような虚しさ。痛みと表裏一体の快感に溺れ、拒絶しながらも求めてしまう愚かな世界。不完全な生命体である人間の哀しさを感じる。

「殺し屋1(イチ)」全9巻  山本英夫 週刊ヤングサンデーに1998年〜2001年連載

ど根性ガエル 

中学生のTシャツに張り付いた、
人面瘡のような「平面ガエル」。


ど根性ガエル DVD BOX 1

フジテレビの「ミセスシンデレラ」というドラマで、嫁役の薬師丸ひろ子が、姑役の江波杏子にいじめられ、ひとり公園で「根性、根性、ど根性〜」と、つぶやくように歌っていた。
そのとき、恋の相手となる音楽家役の内野聖陽が現れる。
薬師丸ひろ子が「ど根性ガエル」をリアルで見ていたのか、脚本家あたりが見ていたのか?

この漫画は、設定そのものから飛んでいる。
ある日、中学2年生の「ひろし」が転んでカエルを潰してしまう。
カエルは根性で「ひろし」のTシャツに張り付き、平面ガエルとなって、ともに生きていく。

平面ガエルは「ピョン吉」という名だが、跳べなくなったカエルだからなんとなく切ない。
やたらに大食漢だし、怒ったら噛みついたりするところは、人面瘡のようでもある。
食べたものは、2次元の世界に折り畳まれてしまうのかもしれない。
ど根性は誰にも負けない。ピンチに陥った「ひろし」を助けたり、優柔不断な「ひろし」の恋の後押しをしたりする。

それにしても中学生のTシャツに張り付いた平面ガエル、ど根性ガエルとは……。
世界広しといえども、誰も考えないようなアイディアだと思う。
アニメ版は、南米やヨーロッパ、東南アジアでも放送されているということ。

「ど根性ガエル」 吉沢やすみ