スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「哭きの竜」能條純一 

「あんた背中が煤けてるぜ」
背中がすすけているとは、運のない寒い男のことか。


哭きの竜 1 (1)

麻雀で、やたらに哭(な)く奴は嫌われる。
こらえ性のない男と馬鹿にされる場合もある。
哭くことで、門前(めんぜん)より役が下がることが多いし、他人の自摸(つも)の流れも変えてしまうから、うるさい野郎と思われるのである。

哭くことは、手の内を晒すことでもある。
能條純一の「哭きの竜」は、静かに哭きまくりながら、異常な強運で勝ち続ける竜という男の話。
竜は、たとえば裸単騎(牌が一枚)になるまで哭く。
裸を晒した地獄待ちでも、哭くことで運を呼び込み、役満を自摸ったり当てたり(出和了)する。

そして、「あんた背中が煤けてるぜ」と、つぶやく。

竜の異常な強運は極道たちの精神を引きつけた。
博徒は、博打に限らず、すべてにおいて運まかせの人生を生きる。
極道の甲斐正三は竜の運を欲しがり、竜をつけ回す。
極道たちが最後に賭けるのは自分の命である。

竜は麻雀の場において、哭いて待つ。
そして竜の女は、たとえば雨の中、ひたすら竜を待つ。
哭くこと、すなわち自分の手の内を晒すことは、運との深い関わりがある。
どんなに哭きまくっても、ルール違反ではない。

「哭きの竜」能條純一
1985年- 竹書房「近代麻雀」に連載
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。