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「洗礼」楳図かずお 

「悪いけど あなたには人生なんてないのよ」
乗っ取られたのは肉体か、あるいは精神か。


洗礼 (2)

肉体が老いるときのためにクローンを用意しておく、というSFのアイディアが現実のものとなりつつある。
そのクローンもひとりの人間であって、当然意志を持っているし、人権はどうなるのかといった問題も出てきてややこしい。
神をも冒涜する行為だと批判する人も多いが、人間の不老不死への願望は強い。
本能的といってもいいほどに強いので、悪魔の所業と蔑まれようが、やがてかなえてしまうのかもしれない。

楳図かずおの「洗礼」は、タイトルが意味深長である。
最後の大どんでん返しのあと、タイトルの意味が見えてくるような気がする。
どんでん返しのあとの不気味さこそ、この漫画から妖気のように放たれる真の怖ろしさ、人間の精神が持つ得体の知れない怖ろしさなのかもしれない。

女優の若草いずみは歳をとっていく自分に耐えられなくなった。
そこで村上医師との相談の上、子を産み育てることにした。
のちに脳移植という方法で、その子の若い肉体を奪うために。
若草いずみは、女の子を産み、世間から消えた。

「悪いけど あなたには人生なんてないのよ」
女の子は「さくら」と名づけられ成長したが、村上医師によって脳を抜かれ、母・若草いずみの脳を移植される。
「さくら」の肉体を得た「いずみ」は学校に通う。
担任の男性教師に恋をし、女としての幸せを得るために教師の家に乗り込む。
悪質な嫌がらせを繰り返して教師の妻を追い出そうとする。
しかし、十分に若いはずの「さくら」の肉体に奇妙な痣がでる。歳をとった若草いずみと同じような痣が。
恐怖に狂った「いずみ」は、こんどは教師の妻の脳を抜いて自分の脳を移植しようと考え、村上医師を探す。

が、村上医師は死んでいた。しかも、若村いずみの脳が娘の「さくら」に移植される前に、すでに死んでいたことがわかった。

奇妙すぎる話である。
母と娘の精神の結びつきが得体の知れない妖気を放っている。
娘に怨念の呪詛を込めるように永遠の思いを託す母、そして母の願望をかなえようとするかのような娘。シンクロナイズしたふたつの心がもたらした奇妙な話。
というような読み方もできるのではないかと思う。
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