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ブッダ 

お釈迦様の生きた時代を「なま」で感じながら、
お釈迦様の生涯のだいたいのところを知る。


手塚治虫漫画全集(287)

手塚治虫の「ブッダ」は、たとえば入院中などに読むといいかもしれない。
就職や転職先が決まって入社まで暇なとき、あるいは受験から解放されたときなどもいいかもしれない。
要は、人生のエアポケットのような時間に一気に読んでしまうのがいいと思う。

物語は、自分を食べてくれと言って、火の中に飛び込む兎の話から始まる。
いきなりガツンとやられたような感じで、生きるとは何かということを強く問いかけてくる。

シャカ族の住むカピラヴァストウの王子として生まれたゴータマ・シッダルタは「生・老・病・死」の苦悩からの解脱をめざして30歳で出家する。シッダルタのカースト上の身分は最上位のバラモンではなくクシャトリア(王侯・武士)だろう。だから正規の僧・婆羅門ではなく紗門ということになるのかもしれない。

シッダルタも最初は他の僧と同じように苦行をし、身体をいじめ抜く。
骨と皮になって死にかけたシッダルタに乳粥を与えるスジャータがやたらに陽気で可愛らしい。地獄から甦ったシッダルタは沐浴し「菩提樹」の下で瞑想に入り、やがて悟りをひらく。
ブッダとなり後光が差す。
「初転法輪」を行ったといわれる鹿野苑や、竹林精舎、祇園精舎の雰囲気がいい。ほとんど野宿のような暮らしの中で、弟子たちに教えを説く。
「沙羅双樹」の下、80歳で入滅するときには、たくさんの動物たちがブッダの周囲に集まってくる。ここは泣ける。

手塚独自のさまざまな解釈はいいとしても、 悟りとは何かという究極の問題をもっと深められなかったのかとも思う。解脱しブッダとなったシッダルタは、まだ人間臭いし悩みがありそうである。しかし「なま」のブッダとは案外こういう感じだったのかもしれない。

日本人ならたいていの人が、小さい頃から仏壇の前で手を合わせ、線香の匂いを嗅がされて育ってきている。その源流がなんなのか、お釈迦様とはどういう人だったのか、だいたいのところを知っておくのにいい。

手塚治虫全集「ブッダ」全14巻
「希望の友(コミックトム)」1972-1983年連載
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