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刑務所の中 


神は細部に宿る。
漫画家は細部を愛でるように描く。


刑務所の中

作者の花輪和一は「ガロ」出身で、江戸の無惨絵なども描く怪奇・猟奇あるいは耽美ものの作家だが、対象を追う筆そのものが恐ろしく執念深い。
偏執的なのである。

たとえば、その辺に散らかっているゴミはくだらない。普通は興味の対象とはならない。しかし、それをあえて顕微鏡でしつこく観察するとすれば、面白いものが見えてくるのかもしれない。

刑務所の中の日常を、微に入り細を穿って掘るように描き込み、ムショ生活における肌ざわりや、饐えたような匂いをも紙面から立ち上げようとしたのが「刑務所の中」であるといえる。こういう作品は小説にも体験記にも見当たらない。

なにしろ、おのれの排便の格好にまでこだわって、くどくどと描き連ねられるし、飯ともなれば、おかず一品一品の歯ごたえのようなものにまで言及しながら、いちいち歓喜したり、落ち込んだり、時に悩みぬいたりするのである。
読み込むうちに、やがて読者は作者とともにムショ生活をしてみたくなる。そんな怪しい魅惑が広がってくるのである。

作者は、モデルガンの改造等による銃刀法違反の罪で三年の懲役刑に処せられたということ。

「刑務所の中」 花輪和一 青林工藝舎


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