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「犬神」外薗昌也 

わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の青い照明です。


犬神 (4)

高校生の史樹は奇妙な犬と出会う。
犬は史樹に、宮沢賢治の詩を声を出して読めと強要した。

わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈の青い照明です。
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょにせわしく明減しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈のひとつの青い照明です……
-宮沢賢治「春と修羅」より

犬は瞑目して聞いていた。
自分が何者であるのかを知りたかったのかもしれない。
犬の耳には23という数字のかたちをした痣があった。
史樹は、この犬を23と呼んだ。

23エニグマという神秘思想がある。
23という数字には特別な意味があり、何やら不思議な力が宿っているとする考え方。
人間の染色体は23対であり、黙示録とされるマヤの暦は2012年の12月23日に終わっている。
カエサルは23回突き刺されて殺された。テンプル騎士団には23人の総長が存在した。
などなど、こじつけではないかと思われるものもあるが、とにかく意味があるらしい。

外薗昌也「犬神」では、アレイスター・クロウリーが唱えた23個の元素による生命の樹の在処をめぐって人間の欲望が交差する。アレイスター・クロウリーは20世紀最大の魔術師といわれる実在した人物である。生命の樹には永遠の生命、人間の次なる進化の鍵があるのかもしれない。

23、そしてゼロと呼ばれる犬は、人間の様子を観察する。あるいは積極的に干渉してくる。
犬たちは、何者かに「人間を見よ」と命令されていた。
23とゼロは、謎の23細胞の宿主で、驚異的な生命力と、体を武器化する能力を持っていた。
23は全身から剣のような突起物を出し、ゼロは鞭のような触手を伸ばして闘う。

人間は不完全な弱い生き物であることがこの漫画から伝わってくる。
精神が弱いし、知性が足りないから争いや不幸を呼び込む。
犬神、あるいはそれを超えた存在との深いレベルの交感が必要なのかもしれない。

「犬神」外薗昌也
アフタヌーンKC(講談社)全14巻
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マジンガーZ 

巨大ロボットの頭部に乗り込む新しいパターン。
マン&マシン一体型の闘いに意味があった。

Zマジンガー 1 (1)

SFアニメ・漫画の世界では、ヒューマノイド型の二足歩行ロボットが「科学の子」だった時代から、「鉄人28号」「ビッグX」「ジャイアントロボ」など、少年ヒーローが自分で遠隔操縦する巨大ロボットの時代へと移り変わっていった。ロボットが巨大化したのは高度経済成長時代の中で、周囲の建物もどんどん巨大化していたからかもしれない。

「マジンガーZ」は、遠隔操作ではなく巨大ロボットに直接乗り込み、マン&マシンの一体感を深めたところが新しかった。のちの時代の「新世紀エヴァンゲリオン」などは、さらにシンクロ率とか訳の分からない理屈が加わったりして、悩めるヒーロー、ヒロインたちの心の状態によってエヴァ機が強くなったり弱くなったりする。

ミケーネの遺跡から古代の巨大ロボット群を発見したドクターヘルは、世界征服の野望を抱くようになる。これに対し、兜十蔵博士は光子力を動力とした超合金ロボット・マジンガーZを創り、孫の兜甲児をしてドクターヘル一味が送り出してくる機械獣に立ち向かわせる。

弓助教授の娘、「弓さやか」がいい。いまはあまりいない古いタイプの女の子だ。
永井豪の漫画の魅力は、女性キャラクターに依るところが大きい。

「マジンガーZ」永井豪 集英社「週刊少年ジャンプ」1972年より連載

七夕の国 

能力を使うたびに、
先祖の血が活性化し異形の姿に。


七夕の国 全4巻 岩明均作

千年ほど前に「丸神の里」では異種交配が行われた。
異種と混じり合った女が産んだ子は、不思議な能力を持ち、姿も鵲(カササギ)のように異形だった。以来、この里は、どの領主の支配にも属さず、特殊能力を持つ者たちが守ってきた。
里の者に伝わるのは、両掌の間に「異空間」を創出する能力。
その「異空間」に触れた部分は、破裂し、すべてどこかに持っていかれる。
手、足、顔の半分といった人間のパーツはもちろん、巨大な建物も山も……。
異形の濃い血は、千年のときのなかで、全国に散らばっていた。

自分の能力を秘し、<村社会>の因習のなかで生きるか。
それとも能力を解放し、欲望を実現していくか。
里の血をひく人間たちは、それぞれの道を選ぶ。

この「七夕の国」といい、「寄生獣」といい、アイデアそのものはそれほど斬新というわけではないと思う。しかし、岩明均は料理の仕方がうまい。
淡々と流れていく画面のなかに、突如現れる残虐な描写がおそろしく効果的。
両掌の間の「異空間」は、一体どこに繋がっているのか?
想像すればするほど、とてつもなく大きなロマンを感じる。

「七夕の国」全4巻 岩明均
小学館ビッグコミック・スピリッツ1996-1999年連載
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