スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゴーダ哲学堂 空気人形 

「悲しみをなくしたいのなら、心を持たなければいい。
 しかし、心を持たない人生なんてつまらない、面白くない」


go.jpg


作者の業田良家は、若い頃、ニーチェに傾倒したともいわれるが、本質は仏教の徒であると思う。
ゴーダ哲学の底には仏教的な人生観、自然観が流れているような気がする。

 「おのれのあるがままの姿を愛しいと思え」
 「どんな人生だろうが、ただ感謝して生きればいいんだよ」

なんだか、禅宗の坊主に説法されているような気分になる。

釈尊が思ったように、人間には「生、老、病、死」の苦悩があって、この苦しみを超える存在になるために解脱をめざすのが本来の仏教であるという。
しかし解脱などは在家の衆生にできるものではない。
作者は煩悩を肯定するし、業を抱え込んだまま生きよと提案する。
筆名からして業田良家(ごうだらけ)なのである。

表題作の「空気人形」は、心を持ってしまったがゆえの悲哀を描いたもの。
純は、男の欲望処理だけのために作られた空気人形だった。
毎日、自分で体を膨らませて、アルバイトに行っている。
しかし、いつしか心を持ってしまう。
バイト先のF夫に優しくされることで、恋に落ちる。
恋に落ちたため、男の本性にふれ、とんでもない悲しみに襲われる。

 「悲しみをなくしたいのなら、心を持たなければいい。
 しかし、心を持たない人生なんてつまらない、面白くない。
 そう、生きていること自体が悲しいのです」

哲学をするというよりも、近くの寺の住職のところに遊びに行くような感じかもしれない。
しかし、悩みがなくても、悲しい話を聞かされ、悩まされる。泣かされる。
そんな感じの漫画短篇集。

●わたしを愛してください●ネガティブ・シンキング●情熱●空気人形●真実●怒り●フォークソング●人類の代表●私の花●損得ロボ●キャラクター子熊さん

「ゴーダ哲学堂 空気人形」業田良家 小学館
スポンサーサイト

聖-天才・羽生が恐れた男 

将棋盤に叩きつけた命の棋譜。
村山聖九段、29年の生涯を描く。


聖―天才・羽生が恐れた男 (1)

村山聖(さとし)は5歳の時からずっと病院暮らしだった。
腎臓ネフローゼというやっかいな病気で、20歳まで生きられないだろうといわれていた。
院内学級の子供たちは、友だちが突然いなくなることに慣れていた。
ある夜、友子がいなくなった時も、みんな何もなかったようにふるまっていた。
友子のベッドには、友子が可愛がっていたぬいぐるみだけがいた。

聖は6歳の頃、病院で直人という仲間から将棋を教わる。
異常な才能をみせた。
聖の命は将棋のためだけに使われるようになった。
全国小学生将棋名人戦では、のちに七冠となる羽生善治や佐藤康光と出会う。

森信雄を師匠に10代でプロ棋士となった。
薬の副作用のせいか、顔がぷっくりとしていた。
その顔が鬼と化し、叩きつけるように駒を打つ姿から「怪童丸」の異名をとった。
「東の羽生、西の村山」と称され将来を期待される。
が、ネフローゼに加えてガンの発生、手術、再発、転移……。対戦中に朦朧とすることもあった。
将棋の神に命を差出すような勝負と、激しい闘病の中で八段まで昇進する。贈九段。

小児病棟で幼なじみだった美樹ちゃんと、中学の時に再会した場面が印象に強い。
美樹ちゃんは、病院でも散歩でもいつも制服姿だった。ほとんど学校には行けないといった。
制服をできるだけ着ていたいという。みんなと同じように学校へ行きたいと。
そして聖くんの夢が将棋の名人になることなら、私の夢はお母さんになることだといった。
不覚にも、本の上に涙を落としてしまった。

「聖-天才・羽生が恐れた男」全9巻 山本おさむ

がんばれ元気 

人間は、たまには思いっきり泣いた方がいい。
「がんばれ元気」は、涙がとまらなくなる漫画。

がんばれ元気 (16)

すべてのボクシング漫画は「あしたのジョー」と比較される宿命にある。
「あしたのジョー」を超えるボクシング漫画は出ないだろうともいわれていた。
「がんばれ元気」がジョーを超えているのかどうかはわからないが、漫画史に残る名作であることは間違いないと思う。

人間は時に思いっきり泣いた方がいい。
「がんばれ元気」は、自分でもびっくりするほど涙が出てきてとまらなくなる漫画だ。
だから、人前では読まないほうがいいのかもしれない。

母は元気を産んですぐになくなっていた。
父は元気のために自分がひとつだけしてやれること、すなわちボクシングを教えた。
プロに復帰し、闘う姿を元気に見せた。
元気は素直に喜び、父が世界で一番強いと信じていた。

だが、若き天才・関拳児に倒された。しかも関は、闘う前から父を愚弄していた。
関は元気までをからかい、せせら笑った。元気は泣きながら関に飛びかかった。
関は5歳の元気を容赦なく殴った。
幼い元気の心に、くやしさだけが深く刻まれた。
試合のあくる日、父は死んだ。
関は元気のもとに現れた。元気は殴りかかったが関は抵抗しなかった。
関は元気に謝罪した。元気はなにかに気づいた。勝負の世界のことかもしれない。
元気は関を許したが、以後、元気の命は、関を追うためだけに使われることになった。

元気は母方の祖父母に引き取られ、素直で明るい子に育っていった。
祖父母は元気を大変可愛がった。元気は祖父母を心配させないよう、密かにボクシングのトレーニングを続けていた。誰にも気づかれないよう、誰からも教わることなく、父の夢だけを追っていた。
関は世界チャンピオンになっていた。

中学時代、元気の夢を知った芦川先生は三島を紹介する。
三島栄司は元ボクサーで、荒んだ生活をしていた。芦川先生のかつての恋人だった。
元気は三島のもとでプロの技術を学ぶが、三島は傷害で懲役にいく。
元気は三島に誉められるためにトレーニングを積んで帰りを待っていた。
三島と芦川先生の関係がせつない。

やがて元気は中学を卒業し、東京へ向かう。
たったひとりの孫を失う祖父母がせつない。
元気もそれはわかっている。しかし元気は関を倒すために東京へ行く。
東京では、それぞれの想いを秘めボクシングに夢をかける男たちとの出会いがあった。

なにかこう、どういう視点で読んだらいいのか、誰に感情移入しても泣けてくる。

「がんばれ元気」 小山ゆう
少年サンデーに1976年より連載
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。